鏡はどうなっているの?
顔を洗ったり、歯みがき、ヒゲそり、お化粧…。身だしなみを整えるのに、姿を映す鏡はとても便利です。見ない日はないと言っていいほど生活にとけこんでいます。鏡について調べてみました。
◇最初は銅を磨いたものだった ガラスと銀を使って光をはね返す
私たちが物を見ることができるのは、物体の表面に当たってはね返った光を目でとらえるからです。光がはね返ることを光の反射と言います。光にはまっすぐ進む性質があります。ガラスや水などの透明な物体に当たると、一部は反射しますが、ほとんどの光は通過します。ですから、ぼんやりとしか物が映らないのです。
ガラスと金属を使って、光をしっかり反射させ、物をはっきり映し出すのが鏡なのです。
◇向こう側に見える虚像
例えば、鏡にリンゴが映っているとします。リンゴに当たったいくつもの光が鏡に反射しているために、鏡の中にリンゴが見えるのです。これは虚像と言います。鏡に反射した光を逆向きに伸ばして交わったところに、あたかもリンゴがあるように見えるだけだからです。
ふだん使っている鏡は「ガラス鏡」といって、よく磨いたガラスの裏側に銀を塗ったものです。銀はほかの金属よりも、光を反射する割合が高いので、きれいに映るのです。以前は水銀が使われていましたが、体によくないため、日本では明治時代の中ごろから、硝酸銀に代わっています。
銀の上からさらに銅と塗料を塗り、乾燥させます。銀は空気に触れると酸化、腐食し黒ずみが出ます。それを防ぎ、壁に鏡を接着するために使う薬品などにも強くするためです。
ほとんどの塗料には鉛が使用されていますが、研究が進み、環境を配慮した「無鉛ミラー」も発売されています。また、曇りにくい鏡やガラス特有の青みのない透き通ったガラスを使った鏡などもあります。
◇中国から日本へ 神秘的な道具
日本に鏡が伝わったのは、弥生時代前期(紀元前三~紀元前一世紀)ごろと言われています。金属を磨いた「金属鏡」でした。中国で作った鏡が弥生時代や古墳時代の遺跡から発掘されています。弥生時代後期(一世紀半ば~三世紀)になると、中国製をまねした鏡が作られるようになりました。
数多く出土し、三世紀のものと思われる三角縁神獣鏡は銅製。虎や竜といった中国の神様「四神」などの模様があります。中国製か日本製か論争はありますが、卑弥呼に贈られたと言われるものもあります。
当時は鏡といっても銅を多く使っており、顔や姿がはっきり映りませんでした。神事や占いなどに使われました。人の姿を映す鏡は、神秘的で神聖なものとして扱われていたのです。
ずっと鏡は高価で、祭事や貴族の間でしか使われませんでしたが、江戸時代に金属鏡が量産化され庶民の間に広まりました。
◆ミニ知識
◇世界の鏡
古代のエジプトでは紀元前3000年ごろから、女性はすでにアイシャドーや口紅などの化粧をしていました。第11王朝(紀元前2100年ごろ)の王妃の石製ひつぎに、柄の付いた丸い鏡を手にした王女の姿が彫られていますが、これに似た実物の鏡が第17王朝(紀元前1650年ごろ)の墓から出ています。銅または青銅に金属や象牙などの柄がついた鏡でした。
ギリシャでも象牙の柄を持つ円鏡が作られました。青銅製が多く、柄をつける場合は台座のある美の女神アフロディアの立像が形どられました。鏡の周りには小動物や花の模様がつけられました。
◇鏡の間
ルネサンス期(14~16世紀)にガラス製作の中心だったイタリアのベネチアで、ガラスにスズを張り付ける方法が発明されました。軽くて映りがいいガラス鏡を作ることができるようになり、それまでの金属鏡に代わりヨーロッパで普及しました。17世紀にフランスのド・ヌーが大型板ガラスの製造法を考案し、縦2メートル、横4メートルと当時としては非常に大きな板ガラスを作れるようになると、フランスの王様ルイ14世はベネチアから多数のガラス工を招き、パリ郊外にガラス工場を作りました。そして大型板ガラスを製造させ、ベルサイユ宮殿に長さ73メートルの廊下の壁面に17枚の大鏡をはめ込めた「鏡の間」を作ったのです。
◇お手入れ方法
窓ガラスと同じで市販のガラスクリーナーや中性洗剤を使って下ふきし、乾燥後は乾いた布でよくふきます。シンナー、ベンジン、灯油などの化学薬品や、クレンザー・たわし・カッターは表面に傷が付くので使用しないでください。
◇鏡の日
11月11日は「鏡の日」。11と11は左右対称で漢字で裏返しても同じになる鏡文字であることから、この日が記念日となりました。<篠口純子>
毎日小学生新聞 2006年10月18日
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歯みがき(歯磨き)(はみがき)/刷牙
ヒゲソリ(髭剃り)/剃胡子,刮脸
映す(うつす)→彼は鏡に自分の姿を映して見た/他用镜子照了照自己。
溶け込む(とけこむ)/融入
当たる(あたる)/(光线)照;撞上
はねかえす/反射(はんしゃ)
まっすぐ/直,笔直
ぼんやり/模糊,不清楚 ⇒ぼんやりと、副词后面跟と,表示一种状态
あたかも/正是,正好;恰似,宛如
塗る(ぬる)/涂(颜料)
割合(わりあい)/比例
さらに(更に)/更;再
黒ずむ(くろ)/发黑,带黑色
黒ずみ
ミラー/镜子
透き通る(すきとおる)/透明;清澈;清脆
扱う(あつかう)/对待,待遇
すでに/几经
棺(ひつぎ)
彫る(ほる)/雕刻
ギリシャ/希臘、希腊
posted on 2006-10-23 17:35
小言身寸 阅读(340)
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